良質な豆との出逢い
私がスペシャルティコーヒーと出逢ったのは、12年前です。
ひょんなことからでした。
学生時代は、おりしも喫茶店ブームの真っただ中で地元石川県は県民一人当たりの喫茶店の件数が全国1位という時代でした。友人と毎日喫茶店でコーヒーを飲みながら過ごしたものです。
当時の喫茶店は今のCaféのようにランチやスイーツに拘りはなく(もちろんそれぞれのお店に名物メニューはありましたが)、仲間と楽しむ場であったり店のオーナーや偶然隣りに座った人との出逢いの場でありました。コーヒー自体の香味もさほど気にすることはなかった時代です。
時がたち、個性的な喫茶店という場は食に中心をおいたCafeや大型店舗にかわっていきました。
私自身の生活も少しづつ変わり、自宅でコーヒーを楽しみたいという思いに変わってきた時です。それが12年前。
いざ自宅で美味しいコーヒーを淹れよう。と思った時、器具の種類の多さやそれぞれの使い方がわからなかったのです。たまたまインターネットで目にした「コーヒーコーディネーター養成講座」という通信教育の広告に目がとまり、何の気なしに申し込みました。
その講座で教材として送られてきた豆の袋を開けた瞬間!
目が点でした。
何とも言えない香りを体験し、スペシャルティコーヒーを知ったのです。
エチオピア イルガチェフェG1 との出逢いです。
スペシャルティコーヒーとこれまで飲んでいたコーヒーの違いは、歴然でした。
スペシャルティコーヒーにはそれぞれ個性(キャラクター)がはっきりあります。
極端な話し、これまでのような苦いか苦くないかだけの豆とは全く違います。
もともと個性がはっきりしない豆をどんなに上手な技術を持って淹れても、そこから個性は引き出せません。ないものを表現することは出来ないですから。
逆に技術がさほどなくても、ちゃんと個性を持った良質の豆からは様々な香り、甘み、コク、余韻等々が出てきます。
この10年くらいでスペシャルティコーヒーが多く飲まれるようになり、入手も簡単に出来るようになりました。ただ、その中にも素晴らしい個性を持ったものもあれば、そこそこのものもあります。
今は、個性のある豆をいかに選ぶかの時代になっています。
そう、提供する側の言葉をうのみにするのではなく、飲む人が良質のものを選ぶ時代なのです!
その選ぶ基準として、
豆を知る事。
良いと言われるものを飲んでみる事。
記されている表現ではなく、自分で感じる事です。
その感じたものがどこから来ているのか、
品種の特徴なのか?
産地や精製法の特徴なのか?
焙煎(ロースト)なのか? などを知ることで、
良質のコーヒーを失敗なく選び、至福の一杯を淹れることが出来るようになります。
淹れる技術や器具の使い分けなどは、豆の個性を100%引き出すためのひとつの過程に過ぎません。
品種や産地、精製、焙煎というと難しいですね。
「プロになるつもりはないから。そこまでは。」と皆さんおっしゃいます。
これは聞き慣れない言葉のせいで難しそうに聞こえるだけです。
有名ブランドのバッグを選ぶ時に、何処の国のブランドでどんな特徴があるのかなどは実際に使っていなくても、なんとなくわかりますよね。
それと同じ。言葉になれてしまえばそう難しい事はありません。
ちょっと知っていることで、失敗の少ない選択ができ、美味しいコーヒーに出逢えます。
現在はドリップなどの技術はもちろんですが、良質の豆を選べるようになることにポイントをおいて、豊かなコーヒーライフを過ごし、さらには将来自分でもという方がコーヒーを提供できるようにサポートが出来るよう活動しています。
教室での皆さんからの疑問や質問は、まったくコーヒーを知らなかった当時の私が思っていたことと同じものが多いです。
なかなか体験出来なかったり、どうして?などを気軽に解決して頂けるよう、教室を始め焙煎体験やテイスティング会などでお伝えするまでになるとは、想像もしていませんでしたけど。
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